2026年度組織応援コース
このコースは、一般的な活動(事業)への助成ではなく、皆さんの組織の成長・発展を応援する「組織助成」です。
日々の活動に注力するあまり、人材育成などや団体の仕組みづくり、外部の理解者・支援者拡大といった「組織づくり」が後回しになって、結果として一部の人だけの活動となってしまうということが NPO ではよく見られます。また、忙しさのあまり内部のコミュニケーションが不足したり、いくつもの課題が整理できていないということもよくあるでしょう。
そういった組織面の課題への改善の取り組みをご支援するのがこの「組織応援コース」です。
応募状況
| 応募件数 | 採択件数 | |||
|---|---|---|---|---|
| 件数 | 金額 | 件数 | 金額 | |
| 組織応援コース | 6件 | ¥1,606,000 | 3件 | ¥800,000 |
採択団体
組織応援コース
| 団体名 | 事業名 | 金額 |
|---|---|---|
| 労働者協同組合こども編集部 | 持続可能な居場所運営のための基盤整備事業 | ¥300,000 |
| (特活)りとるめいと | ひょうご・みんなで支え合い基金 | ¥300,000 |
| (特活)ミャンマーKOBE | ボランティアの拡大と学びのための組織強化事業 | ¥200,000 |
| 合計 | 800,000 | |
総評
選考委員長 早瀬 昇
本基金の「組織応援コース」は、いわゆる組織基盤助成です。この「組織基盤助成」は、事業による課題解決などの成果を求める「事業助成」と異なり、組織自体の基盤強化を進める活動に助成するものです。助成の成果が見えやすい事業助成と違い、主に組織内部の体制強化を目指すため、外から成果が見えにくくなります。そのため税金を原資とする自治体の補助金などはもちろん、民間助成財団でも、実施例はそう多くはありません。
しかし、「事業助成」のみでは、資金を得た事業を遂行するため目の前の活動に追われるなか、活動の土台となる組織の体制がゆらいでしまうこともあります。組織基盤助成は、この課題を克服する一助になると考え実施しています。
さて、今回の「組織応援コース」は、他の助成事業と同様、2025年12月18日まで応募団体を公募。その結果、6件(前年度は13件)、申請総額160万6千円の申請をいただきました。申請件数が半減しましたが、今回は事前の相談でこのコースにそぐわないと他のコースを紹介した例が数件あったことも影響したのかもしれません。1件の助成上限30万円、助成総額80万円という事情もあり、事務局で一次審査を実施。4件に絞った上で、審査員が事前に申請書類を読み、評価点や確認したい点を整理。その上で2月17日に4団体との対面によるグループヒアリング(全体に共通するヒアリング)および個別ヒアリングを実施しました。
その結果、報告のとおり、3団体に総額80万円を助成することとなりました。助成を受けた団体に関しては、柏木委員と村上委員の選評をご覧いただくので、私からは今回、残念ながら選に漏れた団体について総括的にコメントします。
まず、この種の助成では常にあることですが、助成を得た団体と選に漏れた団体の差は、わずかな場合が大半です。助成総額が決まっている以上、相対評価とならざるを得ず、わずかな差で当落が決まります。ですので、選に漏れた皆さんは、どうか落胆されすぎず、次の機会での再挑戦をお願いします。
では、何が差となったのか? 今回、助成できなかった団体については、申請後に事業継承によって組織体制が大きく変化したことや、ボランティア育成の目的が代表者の業務負担軽減にあると受け取れた点など、申請内容と組織の現状・目的に乖離が見られた点がネックとなりました。さらに申請書類で事務的な誤りが複数あった点も踏まえ、今回は支援が難しいと判断されました。要は目標である組織基盤改善の実現に不安を感じたことが差となったわけです。
助成も寄付も、信頼して資金を託すもの。託したいと思える計画を練り、助成金や寄付も得つつ、事業を進める団体が増えてほしいと思っています。
選評
団体名 :労働者協同組合こども編集部
事業名 :持続可能な居場所運営のための基盤整備事業
申請団体は、活動歴6年の比較的若い団体であり、10代の子どもたちを主体とした居場所づくりや表現活動の支援、地域とのつながりづくりなどを行っている。子どもたちと大人との協働が継続的に実施される中、子どもたちが社会との接点を持ちながら自ら考え発信する力が着実に育まれている。
今後、地域の企業や団体との協働・連携による活動をさらに増やし、地域とつながる持続的な部活動コミュニティを育てて行きたいと考えている。そのために、まず1年目として、子ども編集部が社会の中で担っている役割や価値を明確にし、活動内容の整理・言語化やその意義・価値の共有を進めるとともに、支援者・企業・地域に対して分かり易く説明できる土台を整えることを計画している。
審査の結果、上記の取組みは助成対象に相応しいとして採択された。なお、申請内容は翌年度も含む2か年計画として申請されたので、選考委員会は2か年計画の全貌について把握した上で、今般は上記の1年目計画に対する助成が決定された。2年目の活動については、1年目の実践の後に改めての申請をお願いしたい。
団体名 :(特活)りとるめいと
事業名 :ひょうご・みんなで支え合い基金
養父市を拠点に、多文化共生や子育て支援など多岐にわたる地域課題に寄り添い続けている団体です。地域に必要とされる事業を迅速に展開してきた一方で、現在はスタッフ個々の専門性や経験を組織全体の知恵として共有し、チームとしてさらに安定的に活動を継続するための仕組みづくりを模索しています。
本申請の柱となる外部研修や視察を通じた学びの機会は、多文化支援や子育て支援といった異なる専門性を持つスタッフが、同じ目線で活動を見つめ直す貴重な契機となります。外部の先進的な事例に触れ、そこでの気づきを内部研修で共有しようとする姿勢は、組織の風通しを良くし、一体感を高めるプロセスになりうると考えます。
本事業が単なる単発の研修参加に終わることなく、真に組織の力となるチームづくりのための学びとなるよう、事務局とも相談を重ねながら実施内容を精査していくことを期待しています。日々の多忙な業務から一歩離れ、視察や研修で得た刺激を自分たちの活動にどう還元していくか、腰を据えて議論を深めていくことを願っています。
団体名 :(特活)ミャンマーKOBE
事業名 :ボランティアの拡大と学びのための組織強化事業
申請団体は法人設立から5年を迎え 、在住ミャンマー人支援の現場で確かな実績を積み重ねてきました。これまでは創業時の役員を中心とした力強いリーダーシップによって事業を牽引してきましたが、現在はボランティアを含めた多様な担い手の主体性をより引き出す「参画型運営」への転換期にあります。
本事業では、実行委員会の設置による運営の分権化や、団体のアイデンティティを再確認するための「クレドカード」作成など、組織の柔軟性を高めるための意欲的な計画が示されました。特に、次代を担う中堅層による合意形成のためのファシリテーション力を習得しようとする試みは、参加型運営を目指す上で重要な一歩であると考えます。
今後の組織課題の解決にあたっては、単なる手法の導入に留まらず、団体の置かれた状況を深く理解した上で、研修計画を体系的に組み立てられる講師や外部支援者の存在が不可欠です 。最適な伴走者とのマッチングを含め、財団事務局とも密に連携・調整を図りながら、組織全体の合意形成を丁寧に進めていくことを期待しています。

