真如苑基金 第8期 選考結果

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第8期(2024年度)助成事業一覧

応募状況

応募件数 採択件数
件数 金額 件数 金額
全体
 神戸・阪神
 神戸・阪神以外
8件
3件
5件
1,687,000円
520,000円
1,167,000円
7件
3件
4件
1,300,000円
520,000円
780,000円

採択団体一覧

神戸・阪神

団体名 事業名 金額
兵庫県在日外国人教育研究協議会 在日外国人教育の研究・情報発信と相談事業
~地域と学校を結ぶ包括的な支援のために~
¥300,000
CoCoCara芦屋 日本語支援教室 ¥20,000
(特活)インターナショクナル ワールド食育プログラム ¥200,000
小計 ¥520,000

神戸・阪神以外

団体名 事業名 金額
にこにこ日本語教室 ①にこにこポルトガル語教室、②にこにこ日本語教室、地域との交流活動 ¥200,000
(特活)多文化センターまんまるあかし みらいのきょうしつ うおずみきょうしつ の新設 ¥200,000
なかよし「加古川マダン」開催実行委員会 第22回なかよし「加古川マダン」 ¥180,000
(特活)りとるめいと 真如苑・ひょうご多文化共生基金 ¥200,000
小計 ¥780,000
合計 ¥1,300,000

総評

選考委員長 武田 丈

真如苑・ひょうご多文化共生基金は、1936年に東京都立川市に開祖の伊藤真乗によって開かれた真如苑が、2016年より「ひょうごコミュニティ財団」と協働して行っている助成事業である。最初の3年間は子ども貧困や孤立などの問題に取り組む団体への助成であったが、2019年からはこれまでの取り組みを進化させつつ、テーマを多文化共生や外国人支援の取り組み、とりわけ貧困や暴力、差別に苦しむ人々への支援に資する取り組みを優先的に助成することを目的としている。兵庫県内で活動する団体を対象としているが、2024年度は2023年度に続きこうした活動に対する支援があまり十分ではない神戸・阪神間以外(播磨・丹波・但馬・淡路地域)の活動を助成総額の半分程度採択することとして公募を行った。

応募団体の総数は9件であったが、1団体(神戸・阪神地域)から申請事業の実施体制に不安があるため取り下げると連絡があったため、実質8件、そのうち神戸・阪神以外の地域が5件、神戸・阪神地域が3件であった。これら8つの団体が、2024年2月29日に開催された選考委員会における質疑応答に臨んだ。選考委員会では5名の審査委員からそれぞれの団体に対して約10分間の質疑が行われ、いずれの団体も非常に重要で熱心な活動を展開されていること、苦労しながらもさまざまな工夫や努力を行いながら組織やプログラムを運営されていること、地域のニーズに対応したさまざまな活動を行っていることが確認できたが、慎重な審査の結果、7件(神戸・阪神以外の地域が4件、神戸・阪神地域が3件)が採択された。残念ながら採択に至らなかった団体は、初めての申請ということで計画性がやや不十分であったが、地域の外国人増加に対応した不可欠な活動を行っておられる。こうした活動が引き続き行われることを願うとともに、来年度に本助成に再度チャレンジされることを期待する。

末筆ながら、申請書の整理や適切な選考委員会の準備及び進行を担っていただいた事務局とともに、応募されたすべての多文化共生や外国人支援に取り組まれている団体に謝意と敬意を表する。

神戸・阪神

団体名 :兵庫県在日外国人教育研究協議会
事業名 :在日外国人教育の研究・情報発信と相談事業
        ~地域と学校を結ぶ包括的な支援のために~

申請団体は、1996年に設立されて以来約30年にわたり、外国人教育・多文化共生教育のための課題解決のため、調査・研究を始め、研究集会の開催、情報発信などのさまざまな活動を展開している。今回の申請も、こうした団体の活動全般が実施内容に掲載されているが、予算としては主に情報誌である『ともに…』の作成および郵送に割り当てられている。こうした活動の意義は十分に評価できるし、これまでの団体としての活動実績も十分にあるが、時代的に情報誌のデータ化およびメールやWebでの配信等による経費削減やアーカイブ化の可能性について問われた質疑応答では、団体としても若いメンバーが最近加入し、DX化についてもそうしたメンバーを中心に今後取り組んでいきたいという団体としての意志が確認できた。
こうした状況に鑑み、2年継続コースとしての申請であったが、今回の助成は単年度とし、情報発信等のDX化の準備を進めたうえで翌年度以降に再度申請されることを期待する。
(選考委員:武田丈)


団体名 :CoCoCara芦屋
事業名 :日本語支援教室

当該団体は、2018年に地域の日本語教室を出発点に設立され、2022年に現名称に改称、小規模ながら多くのボランティアの助力を得て、国籍・言語を問わず多言語や多文化に親しみ、相互に触れ合う場を通じて多様性と包摂性を旨とする多文化共生社会づくりに取り組み、特に次代を担う子どもたちに重点を置いた支援活動を地道に続けている。
地域の外国人県民の「居場所」としての定着を目指し、規模、体制ともに余裕のない中でも工夫を重ね、今後もDX化やオンラインツール活用など効率化の取り組みへの努力と意欲もみられる。
今回、2年継続助成の申請であるが、地域に支えられ、地域に根差した活動の地道な継続を通じて、着実に共生の考え方が浸透し、更なる活動への基盤が固められることを期待する。
(選考委員:横川太)


団体名 :(特活)インターナショクナル
事業名 :ワールド食育プログラム

多文化共生をテーマとした外国人支援の取り組みを、事業の主旨の他、対象のニーズや実情を把握し、それに基づいた計画がなされているか、又、団体の実施能力や経費の設定等の視点も加えて、様々な観点から選考がなされました。
選考審査におきましては、本事業は、食育プログラムの内容の具体性やユニークさ、これまでの実績、そして当事者も加えた動画の作成の提案等と共に、活動を実施するためのファシリテーターを募集して勉強会を開催しながら理解者を増やし、この運動を広げていこうとする計画が、活動の目的と内容、そして活動成果のイメージが感じられ、非常に評価できます。
日本に外国人居住者が増加するなかで、文化や価値観の違い、言葉や宗教の違いを超えて、本事業を通して、参加する子ども達や参画者が、食のマークを学ぶ機会を通じて、相互理解を主体的に進めようとするコミュニティが、いくつも生まれることを期待しています。
そして、貴団体が2025年以降目指す自立的運営が成され、共に生きる社会をつくる活動が発展されることを祈念しております。
(選考委員:小澤昌甲)


神戸・阪神以外

団体名 :にこにこ日本語教室
事業名 :①にこにこポルトガル語教室、②にこにこ日本語教室、地域との交流活動

当該団体は、2004年の設立以来、日本語教室や教科学習支援を通じた地域の在住外国人、主に児童生徒への支援を続けている。今回の申請は昨年の採択に引き続いての事業内容となるが、我が国の経済・社会環境に目覚ましい改善なく、むしろ様々な新しい要因により更なる困難が続く状況で、これからの多文化共生社会を担うべき子ども達に関わる環境にも厳しい不安定が続く地域の現状を見つめ、課題に真摯に向き合い、精力的に取り組む姿勢が感じ取られる。
不可抗力的な困難環境に置かれた子ども達を対象の中心に見据え、事業を通じて、彼らが自律的に共生社会の担い手として成長することを期待する。また、急激に増える技能実習生と留学生との交流活動にも幅を広げているが、この部分の計画内容の具体性は薄い。
当初申請額を減額採択しているが、事業実現により、地域に根差した多文化共生環境の醸成がさらに進むことを願う。
(選考委員:横川太)


団体名 :多文化センターまんまるあかし
事業名 :みらいのきょうしつ うおずみきょうしつ の新設

国籍や文化の違いを壁にせず、共に生きる社会の実現を目指して「育てる」、「支える」、「世界とつながる」、「世界をつなぐ」をキーワードに掲げ、外国にルーツを持つ市民のための日本語教室の運営や支援者の養成、生活相談への対応、国際交流イベントや通訳サービスの提供など幅広く活動してこられました。
今回の申請事業(みらいのきょうしつ うおずみきょうしつの新設)は、これまで明石市東部で取り組んでこられた実践が行政はじめ関係者に評価され、期待されているゆえの新しい展開だと評価されました。駅から至便のコープの空き店舗で展開されるということですが、生活者の駅へのアクセスは多様であり、子どもにとってのアクセスしやすさを子ども目線、生活者目線で評価しつつ展開することが期待されます。また、民間団体ゆえの公的機関との連携、情報共有の難しさがあるかと思われますが、教室を必要とする市民のウェルビーイングの向上のために、よりよい連携の在り方を模索していただくことを期待しています。
(選考委員:石田賀奈子)


団体名 :なかよし「加古川マダン」開催実行委員会
事業名 :第22回なかよし「加古川マダン」

多文化・多民族の共生をテーマとした、外国人支援の取り組みを、事業の主旨の他、活動の参加者や支援者、更に理解者を増やす姿勢や活動の継続性、持続性及び発展性等の視点も加えて、様々な観点から選考がなされました。選考審査におきましては、本事業は、地域の中において幾重にも回数を重ねて開催されており、コロナ禍の折には、資金提供者が減少する歴史もありながらも、異文化交流の歴史を積み重ね、地域に根付いた多文化事業の伝承に資するものとして続けてこられていることを評価します。
尊い活動であることは十分理解できますし、地域の方の参加者もおられますので、更に加古川地域での活動の継続と発展の為にも、地域の方々や参加者が企画や参加もされる参画の強化を更に進められることやイベントの出演される方々、資金提供者等も更なる創意工夫により進められることで、より一層加古川の地に無くてはならないイベントとしての発展となるものと認識します。
地域社会から世界に向けて、真に共に生きる社会をつくる活動が発展されることを祈念しております。
(選考委員:小澤昌甲)


団体名 :(特活)りとるめいと
事業名 :真如苑・ひょうご多文化共生基金

兵庫県養父市で、看護師、助産師、保育士を中心に活動しておられる団体です。子どもの一時預かり事業の実施や子育てにかかわる人の居場所を作る活動を通して、すべての子どもたちが健全に育ち、子育てがしやすい社会の実現に寄与することを目指しておられます。今回は2回にわたる異文化交流イベントの実施と「防災・災害対応ガイド」の作成を目的とした申請でした。
育児中のスタッフも多く、忙しい中で週に1日、週に2時間という限られた時間でも活動に貢献したいという方も団体の活動を支えているとのことでした。様々な立場の方がこの活動を支えておられることがわかる一方で、事業の継続に向けて人材の確保は課題ではないかと思われます。
活動の意義も、地域のニーズに応じたいという思いも評価されましたが、継続した活動にしていくためには、持続可能な体制の検討や、他地域の先駆的実践を参考にした活動の展開などを検討する必要も感じられます。助成金そのものの活用だけではなく、他団体との連携や、情報交換を積極的に行っていただくことを期待します。
(選考委員:石田賀奈子)