2025年度若者活動応援分野・子ども支援分野の趣旨
若者活動応援分野
いろんな場面で閉塞感や壁が感じられる現在の社会ですが、そういう中だからこそ、若者のみずみずしいチャレンジを応援したいと考えています。
各地で頑張っている、またこれからチャレンジしていこうとしている若者からのご応募をお待ちしています。
子ども支援分野
全ての子どもたちが健やかに育つことを目的に、子どもの福祉向上に資する活動に助成金を応援します。
応募状況
応募件数 | 採択件数 | |||
---|---|---|---|---|
件数 | 金額 | 件数 | 金額 | |
若者活動応援分野 | 10件 | ¥1,881,000 | 5件 | ¥800,000 |
子ども支援分野(Aコース)※上限20万円 | 16件 | ¥3,026,000 | 3件 | ¥550,000 |
子ども支援分野(Bコース)※上限50万円 | 20件 | ¥9,773,000 | 4件 | ¥1,950,000 |
採択団体
若者活動応援分野
団体名 | 事業名 | 金額 |
---|---|---|
学生422 | 若者アクション活性化事業 | ¥200,000 |
プライドプロジェクト | LGBTQユースのための居場所事業 | ¥200,000 |
Socie-Tea | 日本茶を用いた在留外国人の自立的なコミュニティ作り事業 | ¥131,000 |
(特活)夢ノ森伴走者CUE | ユース世代を対象とした地域密着型チームビルディングによる人材育成プログラム事業 | ¥200,000 |
KGUコンポスト | 土から始まる循環革命~『コミュニティコンポスト』事業~ | ¥69,000 |
合計 | ¥800,000 |
子ども分野(Aコース)
団体名 | 事業名 | 金額 |
---|---|---|
(特活)みらぽて | 学校が苦手な子の居場所づくりと保護者のサポート | ¥200,000 |
Teenagers’ Free! Theater | ちょっと学校に行きにくい10代の為の演劇サークル 第20回演劇公演 | ¥200,000 |
ととのうラボAshiya | 0歳からのととのうラボ | ¥150,000 |
合計 | ¥550,000 |
子ども分野(Bコース)
団体名 | 事業名 | 金額 |
---|---|---|
Deaf LGBTQ Center | 聴覚障害児向けLGBTQ×サポートブック制作 | ¥500,000 |
(特活)ピアサポートひまわりの家 | 子どもの居場所みーな 地域につながる駄菓子屋みーな | ¥500,000 |
(特活)ふえっこ自然村 | 学校以外の多様な学びの選択肢としての里山共育コミュニティモデル事業 | ¥500,000 |
(公財)神戸YWCA | 夏休み勉強に役立つ日本語クラス | ¥450,000 |
合計 | ¥1,950,000 |
総評
選考委員長 石田 祐
「ひょうご・みんなで支え合い基金」の2025年度の採択団体を決定するための審査を4名の選考委員で行いました。また、基金運営の事務局であるひょうごコミュニティ財団のみなさんにそのための情報整理および追加の情報収集などを担っていただきました。応募団体のみなさまにも審査のための書類作成や追加情報の提供に多くの時間を割いていただきました。
昨年度同様、数多くの団体のみなさまに応募をいただきました。今年度は提出書類をより集中的に審査を進めることができるように「若者活動応援分野」と「こども分野」を審査するチームと「一般分野」の審査を担当するチームとの2つの審査チームによって選考を行いました。
それでも今年度は兵庫県全域から若者活動応援分野に10件、こども分野(A・Bコース)に計36団体にのぼる応募があり、結論を出すまでに多くに議論がありました。書類による1次選考、書類および面談による2次を経て、若者活動応援分野において5団体を採択し、こども分野においては7団体を採択することができました。今年度の特徴のひとつは、新規の応募団体が多くあったことです。助成金を活用して市民活動を行いたいと考える団体が多く発掘されたとも言えます。各地域の市民活動が活発になることが期待されます。
若者活動支援分野は、若者が活動の主体となり、地域の課題解決に資する活動に挑戦するものです。応募は若手社会人だけでなく、大学生さらには高校生からも応募がありました。それぞれ自分の身近な地域の課題を取り上げ、自分たちにできる範囲の活動を定め、書類に思いを書き込んでくれているように読めました。それでも、審査の中では、実現性や新規性を期待したい声もあり、もっと具体の記載があってもよいのではないかという意見もありました。それは、言い換えると、一定程度の書類ができていることからさらなる期待を寄せているということでもありました。
こども分野においては、直接こども達に提供する活動からこどもを育てる家族をケアする活動まで多様な角度からの申請がありました。本分野では、書類選考による20万円を助成するAコースと、書類および面接で選考する50万円助成のBコースによって寄付を原資とする予算を最大限活用し、団体を決定いたしました。どの活動も重要であることは審査員一同承知の上で、特に市民活動性の強いものであったり、どんな課題に取り組むのか、そしてどのように取り組むのかについて独創性があったり、しっかりと取り組めそうな事業を評価しました。面接で初めてわかることもありましたが、限られた紙面において十分に活動を伝える工夫を行う余地がまだありますので、市民活動を行うみなさまにおいても検討をいただけると幸いです。
最後になりますが、本助成がみなさんの活動を通じて、支えあい、豊かに生きることのできる社会づくりに寄与することができればなによりです。寄付を申し出ていただきましたみなさま、本助成に応募された団体の皆さまに感謝を申し上げます。採択不採択にかかわらずみなさまの活動が前に進んでいきますよう。
選評
若者活動応援分野
団体名 :学生422
事業名 :若者アクション活性化事業
申請事業の背景と目的,具体的な手法,実現に必要な活動資源のバランスが適切であった。加えて,活動拠点が既に整えられ,支援団体との関係も強固であることから,実現可能性も高い。活動内容について地域への還元が具体的にイメージできる点は評価できる。しかし,類似の取組は近隣地域で過去にもなされており,独自性を際立たせていくことが望まれるのではないだろうか。また,紙媒体を中心とする発信のみならず,情報を届けたいターゲットに即したメディア選択も検討して欲しい。地域情報誌(フリーペーパー)の制作過程での成長/発見を糧として,ネクストステップを明確化していき,着実に成果を積みあげていかれることを期待したい。
団体名 :プライドプロジェクト
事業名 :LGBTQユースのための居場所事業
LGBTQユース当事者等にとって,安全・安心な空間で自らのことを語ったり,ピア関係の他者のことを聴いたりすることができる居場所の必要性は高いが,そのニーズは充足されていない現在の課題に適合した申請事業である。地に足をつけて着実に実施されることが見通せる点も評価された。今後のこととして,法人化も視野に入れた時,持続性をもたらす安定的財源の確保が求められよう。活動を軌道に乗せながら,そうした組織運営の課題にも取り組んでいって欲しい。なお,尼崎市や西宮市との協働・連携の形態によっては,本財団助成金充当事業としての適格性を検討することが求められる場合もある。申請にあたっては予算措置を含め,何がどこまで行政取組としての位置づけられているものかを明瞭にして欲しい。
団体名 :Socie-Tea
事業名 :日本茶を用いた在留外国人の自立的なコミュニティ作り事業
「日本茶」という、敷居の低い、気軽に参加しやすいテーマ設定は好感を持てる。交換留学先での活動、語学力などを生かし、実施スケジュールも丁寧に計画している印象。「留学生は意外と孤独」とあるが、「おもてなし」が孤独・孤立感の解消につながるならば意義深い。ただし、留学生がイベントの参加者、いわゆる「お客さん」に終わらないように運営にも携わってもらうなど工夫を心がけてほしい。外国人留学生と大学生のつながりを深めることから始めつつ、外国人労働者にも対象を広げていくなら、地域をどう参画させていくかも考えていく必要がある。日本茶に「人の心をつなげる力」があるとアピールする以上、イベントの数を増やすよりも、企画の「質」を高めていく知恵と工夫を期待したい。
団体名 :(特活)夢ノ森伴走者CUE
事業名 :ユース世代を対象とした地域密着型チームビルディングによる人材育成プログラム事業
これまでの活動で培ってきた地域の人々とのネットワークを生かせるかどうかがカギとなる。地域の課題解決に取り組むには団体の課題解決が先だとして、コミュニティマネージャーの設置やデジタルツールの導入を取り組みとして挙げているが、組織開発はあくまで通過点であり、そこから何を事業として生み出していこうとしているのか。具体的な企画は各グループで決めていくというが、ツールや手法ありきではなく、地域住民との協働、地域への還元が具体的にどう進むのか。真摯に検討してほしい。学生中心の活動だけに、属人的に陥らず、持続可能性があるかどうかも常に意識して取り組んでもらいたい。
団体名 :(特活)夢ノ森伴走者CUE
事業名 :ユース世代を対象とした地域密着型チームビルディングによる人材育成プログラム事業
これまでの活動で培ってきた地域の人々とのネットワークを生かせるかどうかがカギとなる。地域の課題解決に取り組むには団体の課題解決が先だとして、コミュニティマネージャーの設置やデジタルツールの導入を取り組みとして挙げているが、組織開発はあくまで通過点であり、そこから何を事業として生み出していこうとしているのか。具体的な企画は各グループで決めていくというが、ツールや手法ありきではなく、地域住民との協働、地域への還元が具体的にどう進むのか。真摯に検討してほしい。学生中心の活動だけに、属人的に陥らず、持続可能性があるかどうかも常に意識して取り組んでもらいたい。
団体名 :KGUコンポスト
事業名 :コミュニティコンポスト
同じ大学の学生が集まって、身近な「ごみ問題」「農産物の生産地と消費地の都市の分離」といった課題に着目し、「まずは自分たちができるところから始めよう」という意欲が伝わってくる計画です。
「生ごみコンポストから堆肥に、その堆肥を使った農産物を活用する」という循環を実現し、実感するには年単位の時間が必要です。その実感を「地域での気づき」「アクション」「アクションの継続と改善、さらなる継続」にも、さらなる時間を要することかと思います。本申請では、この「ゴミ活用の循環」と「活動サイクルの循環」の時間の見積もりについて、もう少し現実的な計画が盛り込まれていることが必要であったように思います。
とはいえ「まずは無理なく始める」「無理なく続ける」「知り合いレベルの人に『自分たちにもできそう』と思ってもらう」の最初のステップを踏み出してこそ、循環が始まります。本助成を活かして、「ずっと続くコミュニティコンポスト」につながる最初のフェーズを大事に、創意工夫しながら着実に歩んでください。ご報告を楽しみにしています。
子ども分野(Bコース)
団体名 :Deaf LGBTQ Center
事業名 :聴覚障害児向けLGBTQ×サポートブック制作
マジョリティには気づかれにくい交差的/複合的な課題にアプローチするものであり,その活動は高く評価されるものであり,また,評価されなければならないものである。申請事業は当事者や支援者の声に基づいて企画されており,事業の必要性と内容の適切性にかかる説明は極めて説得的だった。それ故,地に足をつけながらも,当事者と支援者の双方への幅広い普及が求められよう。既有のネットワークや関係者を中心に協働関係を深化/拡大させていかれることを期待したい。加えて,現在の情報行動に鑑みた多メディア展開も期待されるところである。
団体名 :(特活)ピアサポートひまわりの家
事業名 :子どもの居場所みーな 地域につながる駄菓子屋みーな
地方における子どもの「居場所」確保の重要性は都市部にも増して大きいはず。少子化が進む中、かなりの数の「場」を提供しようとしている。駄菓子屋は子どもにとって垣根が低く、子どもが抱える課題をキャッチしやすい利点もあるという。子どもたちが運営にも参画できればなお良い。積極的に情報発信して、周辺部における活動のモデルになってほしい。法人の規模が大きい中でも財源的には厳しいというが、社会課題解決への取り組みとして行政にその意義を伝え続けるとともに、地元企業とのコラボを検討するなど継続的な財源確保への努力を続けてもらいたい。宍粟市は面積が広大で、市中心部(山崎町)以外にも事業の効果が行き渡るよう、対象者は少ないかもしれないが、目配りを欠かさずにいてほしい。
団体名 :(特活)ふえっこ自然村
事業名 :学校以外の多様な学びの選択肢としての里山共育コミュニティモデル事業
不登校の子どもたちと家族の抱える課題が顕在化しつつある中、申請団体が活動する地域でも同じ課題を持つ親子が確かに存在している一方で、子ども人口の多い都市部とは違った支援の難しさがあると思います。
申請団体は、里山や田畑といった身近な資源をしっかりと活用し、週4回以上の活動をまさに市民活動として継続されています。対象となる年齢層ごとに活動内容に工夫を凝らし、多様な学びを提供しつつ、10代の若者リーダーが企画運営する遠足やリーダーの引き継ぎといった成長のプロセスをしっかりと支えておられる点も素晴らしいと感じました。
たくさんの人手を集めることが難しい地域性かと思いますが、ひとりひとりの顔が見え、丁寧にサポートできるというアドバンテージも持っているとも言えるかも知れません。「私助ける人」「私助けてもらってばかり」の関係になりがちな子ども支援ですが、大人も子どもも「自分も誰かのお役に立てる実感がわく」活動としての価値をぜひ発信していただき、他の同じような人口構成地域でのモデルとなるような活動に育てていかれることを願っています。
団体名 :(公財)神戸YWCA
事業名 :夏休み勉強に役立つ日本語クラス
外国ルーツを持つ人々、子どもたちへの長きにわたる「日本語教育」を踏まえての事業は、社会性を育てる重要な時期にある子どもたちに、「ことば」というツールを手渡し続けてきたと言えましょう。さらに外国ルーツの子どもたちが通う公立学校や住まう地域の教員や支援者に届けていくことも視野に入れた本申請は、「いわゆる語学教室」にとどまらないポテンシャルを秘めていると感じます。
長年の実績に裏打ちされた日本語教育が「来日間もない子どもたち」にひとりでも多くに届くこと、さらに学校や地域での支援者との交流会、悩み相談、日本語教育を通じた子ども支援のノウハウの共有をぜひ力強く推進されることを期待します。
※子ども支援分野はBコースのみ選評を執筆しています。