第3期 一般分野 選考結果

ひょうご・みんなで支え合い基金

2025年度一般分野の趣旨

 社会課題の緩和や解決という「成果」も重要ですが、同時に、市民・住民が主体的に参加し、人々の力で社会課題に取り組もうという気運を醸成する取り組みのプロセスを高く評価します。また幅広い協力のネットワークの形成や、ネットワークを活かした活動を重点的に応援します。

応募状況

応募件数 採択件数
件数 金額 件数 金額
一般分野(Aコース)※上限20万円 15件 ¥3,004,000 6件 ¥900,000
一般分野(Bコース)※上限50万円 23件 ¥11,000,000 3件 ¥1,500,000

採択団体

一般分野(Aコース)

団体名 事業名 金額
(特活)ゲートキーパー支援センター 地域の相談室事業 ¥130,000
(特活)MixRainbow 講演会 今更聞けない LGBTQ+入門 ¥180,000
(特活)あんだんてKOBE 知的障がい児者と取り組む参加型音楽フェスティバル ¥160,000
播州ストリートダンス協会 ダンスで繋がる希望のネットワーク2025~多様性と包摂の社会を目指して~ ¥150,000
たんば社会教育士コミュニティ 「たんば社会教育士コミュニティ」による社会教育士の認知度向上と交流・人材育成事業 ¥140,000
(特活)しそう夢鉄道 鉄道のない町宍粟市を鉄道模型で地域活性 ¥140,000
合計 ¥900,000

一般分野(Bコース)

団体名 事業名 金額
神戸レインボーフェスタ実行委員会 神戸レインボーフェスタ2025 ¥500,000
(特活)武庫川ECO-LABO フィッシュシェアリング活動 ¥500,000
コミュニティスペース そらにじひめじ ひめじヒューマンライブラリー2025 ¥500,000
合計 ¥1,500,000

総評

選考委員長 石田 祐

 「ひょうご・みんなで支え合い基金」の2025年度の採択団体を決定するための審査を4名の選考委員で行いました。また、基金運営の事務局であるひょうごコミュニティ財団のみなさんにそのための情報整理および追加の情報収集などを担っていただきました。応募団体のみなさまにも審査のための書類作成や追加情報の提供に多くの時間を割いていただきました。

 昨年度同様、数多くの団体のみなさまに応募をいただきました。今年度は提出書類をより集中的に審査を進めることができるように「一般分野」を審査するチームと「若者活動応援分野」と「こども分野」の審査を担当するチームとの2つの審査チームによって選考を行いました。

 それでも今年度は兵庫県全域から一般分野(A・Bコース)に計38件にのぼる応募があり、結論を出すまでに多くに議論がありました。書類による1次選考、書類および面談による2次を経て、一般分野において9団体を採択することができました。今年度の特徴のひとつは、新規の応募団体が多くあったことです。助成金を活用して市民活動を行いたいと考える団体が多く発掘されたとも言えます。各地域の市民活動が活発になることが期待されます。

 一般分野のAコースは書類のみで選考を行います。それぞれの団体がなぜその活動が重要なのかにおいて、その根拠を示す情報をお示しいただいています。一生懸命に記述いただいている反面、社会的状況を説明することに傾斜し、団体の活動との結びつきを発見しにくくなる書類もありました。もちろん社会的背景から見出される取り組みの意義を説明いただく必要がありますが、最も重要となるのは、団体のみなさんの活動が何を目指しているのか、そのために何を行うのか、それが誰の何を改善したり解決したりするのかについて具体に説明をいただけることと、審査員としては評価しやすくなると考えています。

 Bコースは書類に加えて面談があることから、文章から読み取れない部分にまで踏み込むことができます。団体のみなさんの声を聞くと、全部に支援したくなってしまうという気持ちも芽生えてくるのですが、それ以上に、書類審査時には評価がなされていなかった点に気付かされることもありました。また、50万円という資金を活動全体の中でどのようなことに用いるのかという点も重要な議論のポイントとなりました。施設整備に用いるのか、人件費や講師代に用いるのか、どこに用いることも自由な助成ですが、審査員としてはそれがいかに活動を有益なものにするのかという点で議論しています。

 最後になりますが、本助成はみんなで支え合う社会づくりというコンセプトに共感をいただいたみなさまからの寄付を原資に行われています。寄付をいただきましたみなさまに感謝を申し上げたく存じます。また、本助成を活用し、市民活動を推進しようとお考えになり、応募いただいた団体のみなさまにもお礼を申し上げます。採択不採択にかかわらずみなさまの活動が前に進んでいきますよう。

選評

一般分野(Bコース)


団体名 :神戸レインボーフェスタ実行委員会
事業名 :神戸レインボーフェスタ2025

 申請団体は、LGBTへの正しい知識が周知されていないこと、性的少数者への偏見や差別、誹謗中傷がなくならないことで、自身の性に悩む人々が苦境に立ち、最悪の場合は自ら命を絶つという問題に立ち向かい、人権の尊重、性の多様性が認められる社会を作っていくことを目指して活動している。
 今回は「神戸レインボーフェスタ2025」事業が採択された。神戸は政令指定都市の中でもパートナーシップ制度導入が最も遅かった経緯もあり、当事者やALLY(AGBTQ+を含むマイノリティ当事者を支援する者)、興味関心を持つ方たちが一同に会してつながる交流の場は重要性が高い。また本フェスタは3年目となるが、年々規模を拡大しており、今回はジーライオンアリーナに開設されるTOTTEI PARKで5月31日、6月1日の二日間で参加ボランティア100名以上、一般参加者5,000名以上を予定している。協賛企業の数も年々増えており、周回遅れのトップランナーとして神戸から力強い発信を行ってもらいたい。
 最後に日本は難民受け入れ国であるが、2024年に日本人の同性カップルがカナダで難民認定を受けた。カナダ政府は「日本での迫害に対して当事者が十分根拠がある恐怖を抱いている」と認めた。このことからも日本でいかに性的なマイノリティの方々の人権が抑圧されているかが伺える。神戸レインボーフェスタの活動が未来を切り拓く希望の光となることを願いたい。


団体名 :(特活)武庫川ECO-LABO
事業名 :フィッシュシェアリング活動

 尼崎の海で釣りを楽しむ人達に余った(持ち帰らない)魚を提供してもらい、その場でさばいて真空冷凍パックし、食材として地域の子ども食堂等に提供する取組で、資源循環という点でも、地域のニーズと善意をつなぐという点でも、とても有意義な活動である。
 根底に尼崎の海のイメージアップの狙いがあり、海を生業とする企業と協力関係を結べていることから運営は安定している。連携先も広く、調理後のアラは障がい者の作業所と協働でペットフードに加工し、最後に残った骨や内蔵も肥料にして里山保全の環境団体に提供するという徹底ぶり。釣った魚は海にリリースしても弱っていて死ぬことが多いことを鑑みると、フィッシュシェアリングによって命を生かし切ることができるため、協力する釣り人も口コミで広がっているという。また、一般の子ども達向けに地産地消の食育学習も行っており、自然学習や地元愛を育てることにもなっている。
 既に他地域からも問い合わせが来ており、水平展開も期待できる。ただ支出項目にリース料やレンタル料が多いので、賛助者を募って資金を集め自前の機材を購入することも視野に入れてもらいたい。


団体名 :コミュニティスペース そらにじひめじ
事業名 :ひめじヒューマンライブラリー2025

 姫路市で、LGBT等のさまざまな生きづらさを抱える人の居場所づくりを起点に、常設のコミュニティスペースを開設するなどの取組みを進めている団体。
 ヒューマンライブラリーとは、「人を借りる図書館」をイメージした取組みで、2000年ごろから人権に敏感な北欧で始まったもの。マイノリティの方が「本」のように貸し出されて、参加者が「読者」となって話を聞くことで理解と共感を広げるもので、講演会等とは異なり、一方通行の知識の獲得にはならないことが特徴です。
 第1回「ひめじヒューマンライブラリー2024」を、2024年12月に開催し、好評のうちに開催できたので、昨年に引き続いて2回目の開催を行うために助成申請したものです。
 この助成金の目的は、社会的な孤独・孤立を和らげ、市民相互の支え合いや市民主体・市民参加のまちづくりを促進するためであり、このヒューマンライブラリーの取組みが広がることで、ダイバーシティ、インクルージョンへの第一歩になることが期待されます。今後は、姫路市内の開催だけではなく、県内各地で、企業や行政等との共催などにつなげていきたいと考えています。

※一般分野はBコースのみ選評を執筆しています。