真如苑基金 第10期(2026年度) 選考結果

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第10期(2026年度)助成事業一覧

応募状況

応募件数 採択件数
件数 金額 件数 金額
全体
 活動応援コース
 組織応援コース
20件
19件
1件
¥5,988,000
¥5,498,000
¥490,000
6件
5件
1件
¥1,300,000
¥1,100,000
¥200,000
※なお組織応援コースは、横川委員は協議から外れて選考を行いました。

採択団体一覧

活動応援コース

団体名 事業名 金額
Rejoice 多文化家庭の子育て・生活サポート事業 ¥300,000
マサヤンタハナン Masayang Tahanan フィリピン移住者の暮らしを支える相談窓口事業 ¥230,000
NPO香美町にほんごマルカル 支援者学習者という垣根をなくして互いに支え学び合う活動事業 ¥230,000
(特活)ガルーダ・ジャパンコミュニティ 在留外国人の生活環境改善推進事業 ¥170,000
VIAN ラントイのベトナム・サマー/ウィンター・スクール ¥170,000
活動応援コース 小計 ¥1,100,000

組織応援コース

団体名 事業名 金額
(特活)多文化センターまんまるあかし 資金運用体制強化と事業の見える化強化 ¥200,000
組織応援コース 小計 ¥200,000
組織応援コース+組織応援コース 合計 ¥1,300,000

総評

選考委員長 野津 隆志

 この基金は、兵庫県内での多文化共生や外国人支援、特に困難な状況にある人々への支援を優先的に応援することを目的に設置されました。

 今年度は募集に対し過去最多となる計20件の応募がありました。それだけ、こうした課題が県内で重要となってきていることの表れと思います。特筆すべきは、活動エリアの広がりと団体の多様化です。従来の神戸・阪神間に加え、但馬や西播磨などこれまで支援が届きにくかった地域からの応募が目立ちました。また、当事者が主体となる団体や、地域住民との「対等な関係性」を模索する新しい活動理念も見られ、本基金が目指す多文化共生の深化を感じさせるものでした。

 選考委員会では、活動の緊急性、独自性、そして地域社会への波及効果を軸に慎重な審議を行い、最終的に6団体が採択されました。新設された「組織応援コース」への応募を含め、単なる「支援」に留まらず、団体のガバナンス強化や、支援される側が支援する側へと回る循環を生み出そうとする新たな姿勢を高く評価しました。 しかし予算の制約上、多くの優れた事業に対して、苦渋の「減額採択」をお願いすることとなりました。各団体には、限られた資金の中で活動の核心を維持しつつ、持続可能な基盤を築いて行かれることを期待します。

 また、惜しくも採択に至らなかった団体も、地域の多文化共生に不可欠な役割を担っております。今回のご縁が、皆さまの活動がさらに地域に根ざしていくための新たな一歩となることを願っております。

選評

活動応援コース

団体名 :ReJoice
事業名 :多文化家庭の子育て・生活サポート事業

 当該団体は、NPO法人設立準備中の団体であり※注、これまで外国ルーツ住民に限らず、広く子ども・保護者・地域が相互に支え合い、安心安全に暮らせる地域づくりに貢献する活動を続けてこられた。
 国内の在住外国人が毎年最高人数を更新し、広く地方でも地域社会を支え創る要員としての意義が高まっている現実の中では、主に視点が置かれがちな就労外国人だけではなく、その子弟や家族をしっかりと支えることが未来に向けた盤石な地域づくりに重要となる。
 日々の暮らしを支える生活相談とともに、社会的養護者の立場を十分に考慮して寄り添った支援を行い、地域社会を共に創造する構成員として丁寧に支えている。
 計画では、教育機関や行政、企業など広く関係機関・団体、また近隣地域や県内他地域で同様の活動を行う支援団体とも協働し、活動の広がりと効果を高めることも考慮されており、多文化共生社会実現に向けた堅実な取り組み姿勢を高く評価する。

※事務局注:選考委員会開催後の2026年3月13日にNPO法人に認証されました。


団体名 :マサヤンタハナン Masayang Tahanan
事業名 :フィリピン移住者の暮らしを支える相談窓口事業

 在住フィリピン人が相互に助け合い、地域との交流を通じて安心に暮らせる生活環境づくりを推進する目的で2015年に設立され活動している団体です。今回の申請は、定期的な相談体制を整えて5年目になる相談窓口事業についてで、毎週火曜日に電話、SNS、対面による日本語、英語、タガログ語での相談を受けつけています。必要に応じて火曜日以外の対応や同行支援も行っており、他の支援団体や相談機関とも連携し、専門的相談の解決にも取り組んでいます。
 日々の生活のなかで不慣れでわからない点を母語で相談できる場所として相談件数は年々増加しており、在住外国人が安心して暮らせる地域社会づくりに貢献しています。また、相談事業に留まらず、移住者が日本語や文化、ルールを学ぶ活動や地域との交流・情報交換も実施し、地域の多文化共生へ向けた取り組みも行っています。
 相談事業は財源確保が難しいですが、この大切な活動が今後も継続していけるような新たな手立ての検討が引き続きなされるよう願っています。


団体名 :NPO香美町にほんごマルカル
事業名 :支援者学習者という垣根をなくして互いに支え学び合う活動事業

 香美町国際交流協会内で日本語教室を担うグループとして長年活動を続けてこられ、2025年に任意団体として独立されました。外国人住民向けの日本語教室・学習支援・交流活動を実施しつつ、同時に地域住民に対しても多文化理解を促し、地域全体として互いに支え合う関係づくりを目指して活動していらっしゃいます。
 少子高齢化と人口減少に伴い外国人住民が増加している香美町において、「多文化共生(支援する・されるという立場ではなく、互いに違いを理解し、それぞれの役割や強みを生かしながら地域の一員として暮らしていくこと)」という明確な視点を持ち、外国人住民向けの日本語学習機会の提供、地域住民向けの多文化理解講座、お互いを理解し合うための活動を実施するという点が評価されました。今後、地域に根差した活動を継続していけるよう、基盤を整えていくことが期待されます。


団体名 :(特活)ガルーダ・ジャパンコミュニティ
事業名 :在留外国人の生活環境改善推進事業

 本団体は、日本人とインドネシア人の混成組織として、「支援される側から支援する側へ」という当事者の主体性を重んじる明確な方向性を打ち出している点が非常に高く評価されました。
 特に、SNS等での在留外国人に対するネガティブな言説や地域社会との摩擦といった、昨今のデリケートな社会課題に対し、「在留者意識調査」を通じて客観的に現状を把握し、自ら改善策を模索しようとする姿勢は、今後の共生社会の実現に向けた先進的な取り組みです。また、養父市や朝来市の団体との連携による地域間交流の拡大は、都市部と地方部それぞれの課題を共有し、相乗効果を生むものと期待されます。
 これまで行ってきた貴重な調査結果を生かし、具体的な活動へと結びつけ、中長期的な信頼醸成につなげていかれることを期待しています。当事者組織としての強みを活かし、地域住民との「顔の見える関係」をより強固なものされるよう祈念します。


団体名 :VIAN
事業名 :ラントイのベトナム・サマー/ウィンター・スクール

 当該団体は2018年に設立され、近年、急激に在住者が増えているベトナム人コミュニティを対象に、多く集住する神戸市長田区をホスト社会と位置付けて、ベトナム文化紹介を通じて地域を包摂する活動を推進してきた。
 これまでもベトナム人コミュニティのみならず多様な在住外国人が参加する様々な多文化イベントが開催されてきた地域ではあるが、依然として感じられる住民相互の「関わり合いの薄さ」の解消に向け、ベトナムのルーツ文化を活用し、交流・相互理解を促進する拠点として地域に文化資源を創る計画であり、将来に向けた可能性を感じさせる。
 在住外国人が異なる社会環境での生活で希薄となるルーツ文化を尊重し、母語・母文化に触れ自己肯定感を育む事業を通じて地域と交流・連携する活動は、在住外国人の安全で安心な生活環境の構築につながるだけでなく、地域の多様性と包摂性が高まり、多文化共生社会の基盤が固められ、地域社会そのものを強固にするものと期待する。


組織応援コース

団体名 :(特活)多文化センターまんまるあかし
事業名 :資金運用体制強化と事業の見える化強化

 本団体は長年にわたり明石市を中心に多角的な活動を展開しており、地域における多文化共生のパイオニアとしての役割を担っています。今回、新設された「組織応援コース」において、代表の「今後の10年を見据えた組織体制の立て直し」に挑む姿勢を支持し、採択を決定しました。
 選考委員会での議論では、急速な事業拡大に伴う理事長の業務過多という課題に対し、「会計処理の適正化と内製化」が最優先課題であると判断しました。同時に申請された広報強化も重要ですが、まずは専門家(会計士等)のコンサルティングを通じて複雑化した財務状況を整理し、事務局員へ実務を引き継げる体制を構築することが、団体の持続可能性を高める鍵となるでしょう。
 事務局(ひょうごコミュニティ財団)とも密に連携しながら、課題の優先順位を見極め、組織としての「次の一歩」を確実に踏み出してください。この1年間の「組織診断と整理」が、将来的なコミュニティビジネスの黒字化や中間支援的な役割の強化に繋がることを期待しています。