新ひょうご・みんなで支え合い基金 2024年度 選考結果

新ひょうご・みんなで支え合い基金

2024年度助成事業一覧

応募状況

応募件数 採択件数
件数 金額 件数 金額
全体
 若者活動支援分野
 こども分野
 その他分野
65件
4件
25件
36件
19,978,000円
1,200,000円
7,424,000円
11,154,000円
26件
2件
15件
9件
5,994,000円
273,000円
3,721,000円
2,000,000円

新ひょうご・みんなで支え合い基金

 この基金は、下記の基金を合同で募集するものです。各基金は、いずれも個人・法人(企業)の篤志により設立されたもので、それぞれの指定分野の助成金に充当されます。
 いずれの基金も、市民主体・市民参加の活動を応援するという趣旨は共通しています。

①野田子ども・若者応援基金 〈子ども支援・若者の活動支援〉
②一般募金 (若者の活動支援)
③田中成治基金 〈子ども支援〉
④中村毅一郎・婦美乃基金 〈子ども支援〉
⑤ASAHI-MITSUHASHI基金 〈医療・子ども支援〉
⑥岸鶴夫基金 〈高齢者支援〉
⑦中村毅一郎・婦美乃基金 〈分野限定なし〉
⑧實吉一夫基金 〈分野限定なし〉
⑨匿名基金 〈分野限定なし〉

※2024年度募集では①②で最大200万円、③④⑤で計300万円、⑥⑦⑧⑨で計200万円、合計700万円の支援枠を設けました。「野田子ども・若者応援基金」は子ども支援と若者の活動支援のどちらに充ててもよいとのご意向があり、若者活動支援に充てた残額を子ども支援の助成に充てました。

野田子ども・若者応援基金、一般募金[若者活動支援分野]

基本コース

団体名 事業名 金額
(特活)夢ノ森伴走者CUE デジタル技術を活用した「スマホ講座」を通じて行う世代間交流事業 ¥173,000
(特活)ぐらんどすらむスクエア 不登校児童生徒のキャリア形成のためのメタバース空間構築事業 ¥100,000
合計 ¥273,000

発展コース

若者活動支援分野の発展コースの採択は今回無し。

野田子ども・若者応援基金、田中成治基金、中村毅一郎・婦美乃基金、ASAHI-MITSUHASHI基金[子ども分野]

基本コース

団体名 事業名 金額
(特活)神戸アイフレンド 視覚障がい乳幼児の健やかな成長とその家族を支援する活動 ¥200,000
(特活)みらぽて 親と子の居場所づくり ¥200,000
(特活)スマイルポケット ひとり親世帯の交流会&子どもの料理教室事業 ¥200,000
Farm to Children Farm to Children 立ち上げのための基盤整備 ¥200,000
(特活)障害者地域生活応援団あかね 子ども食堂あかね&宿題おわらせ会 ¥150,000
サークルささるんと デジタルでは得られないリアルな体験で親も子も自分らしく生きる!子育て応援事業 ¥150,000
心をつなぐ応援団「西風(いりかじ)の宝」 『居場所』づくりを目的とした、こども食堂「西風(いりかじ)の宝」 ¥150,000
播州ストリートダンス協会 ダンスで繋がる希望のネットワーク~多様性と包括性の社会を目指して~ ¥150,000
人心地 みんなでいろいろな体験してみようプロジェクト ¥150,000
合計 ¥1,550,000

発展コース

団体名 事業名 金額
(特活)HIKIDASHI 若者たちに正しい性の知識と気軽な相談場所を届ける「出張ユースカフェ事業」 ¥500,000
(特活)ゆるり家 駄菓子やをツールとした多世代交流の場づくり おでかけひろば「おきらくだがしかし…」 ¥421,000
兵庫フリースクール等連絡協議会 普及・啓発事業「子どもの権利・多様な学びを認める”こどもまんなか社会″を目指して」 ¥300,000
りすぺくと・ゆう 不登校支援のための地域づくり ~こどもの居場所「雑楽塾」をそのきっかけとする事業~ ¥350,000
(特活)ふぉーらいふ 地域連携による不登校の小学校低学年児童への体験と学びの提供・支援事業 ¥300,000
(特活)神戸ロボットクラブ プログラミング学習 ¥300,000
合計 ¥2,171,000
子ども分野(基本コース+発展コース)合計 ¥3,721,000

岸鶴夫基金(高齢者支援)、中村毅一郎・婦美乃基金、實吉一夫基金、匿名基金
[その他の分野]

基本コース

団体名 事業名 金額
(特活)アイリス 想いを伝えるなないろカードで介活をはじめよう! ¥200,000
tree donut ひきこもり支援を行うための基盤作り~埋もれている当事者を見逃さないために~ ¥200,000
(特活)あんだんてKOBE 知的障がい児者が取り組む地域参加型音楽フェスティバル ¥200,000
がん哲学カフェ@加古川 がん哲学カフェ@加古川 ¥50,000
ひめじ西里山サポート倶楽部 竹資源を活用した地域おこし ~太市の筍を守ろう~ ¥100,000
ゆずりは明石 がん患者その家族の交流の場の拡大とケア帽子寄付事業 ¥50,000
合計 ¥800,000

発展コース

団体名 事業名 金額
神戸レインボーフェスタ実行委員会 神戸レインボーフェスタ2024 ¥500,000
(特活)兵庫県障害者タンデムサイクリング協会 兵庫県で障害者タンデムサイクリングを楽しむ会 ¥350,000
(特活)あしたあさって 地域と人を結ぶ一歩先のコミュニティ~旧水尾町公民館利活用 ¥350,000
合計 ¥1,200,000
その他分野(基本コース+発展コース)合計 ¥2,000,000

総評

選考委員長 坂西卓郎

 新ひょうご・みんなで支え合い基金はコロナ禍での困窮時に兵庫県内の様々な市民団体や個人の皆様によって2020年に設立された基金の想いを継ぎ2022年度よりひょうごコミュニティ財団が行っている助成事業です。

 2023年度は65団体からの応募があり、26団体が採択を受けました。応募団体の活動地域をみると南は淡路島から北は豊岡まで県内全域からこれだけ多くの応募があったことには選考委員として感謝するとともに兵庫の市民社会の力、裾野の広さに驚かされ、また強い勇気をもらうことができました
というのも本基金はいわゆる行政や企業からの助成金ではありません。市民の方々からの想いが原資となったコミュニティファンドです。その大きな違いは「出会いと対話」だと思います。通常の助成金のように採択か不採択かの二択ではなく、必ず対話が生まれます。もっと言えば助成を通じた「仲間探し」、「つながり創り」の活動だと考えています。

 その一幕として発展コースのヒアリングを紹介したいと思います。本基金ではグループ毎に応募団体のヒアリングを行っています。つまり他団体のヒアリングに参加することができます。その内の一つのグループがオンラインで開催されました。それぞれの選考委員が質問した後に少し時間が残ったので、各団体に最後のPRをお願いしました。そうするとある団体が別の団体の活動に深く共感したということで、「その活動にぜひ参加したい、またテーマは違うがつながるとこもあるので活動でもぜひ連携したい」、と発言されました。ともすれば同じ助成金の採択を目指す競合相手でもあるにも関わらず、自らのPRタイムを他団体への共感を示すために使われたのです。そしてその声がきっかけとなり他の団体の方たちからも共感の声があがりました。

 私はこの一幕に本基金のコアバリューである「市民主体・市民参加」が凝縮されていたと思います。採択、不採択を超えて、市民が連携していく、そして「みんなで支えあう社会」につながり、孤独孤立で悩む人が一人でも救われていく。理想論かも知れませんが、本基金がその一助となれば幸いです。
応募されたすべての団体の皆さん、ご寄付いただいたすべての皆さんに感謝申し上げます。

選評:各分野発展コース

子ども分野

団体名 :(特活)HIKIDASHI
事業名 :若者たちに正しい性の知識と気軽な相談場所を届ける「出張ユースカフェ事業」

 本団体は、明石や神戸を中心に、学校教育では十分に学ぶことのできない「性」に関するガイダンスや包括的性教育の考え方を若者に対し、移動事業を展開し、必要な情報を提供している。選考委員会では、本事業の重要性と、公共サービスでは漏れ落ちてしまう部分を市民活動として補完し、さらなる展開への努力と現在までの成果を評価し、助成することとした。

 事業の展開としては、より多くの若者が多く集う大学との連携を進め、学園祭などの実施場所の確保に努めていること、必要な情報を正しく伝えるためにブックレットを作成し、配布していることなど、団体自らが移動し、情報発信に尽力している。また、そのための活動資金を確保するために、企業へアプローチして、協賛金の確保に成功していることを確認することができた。今後、活動の認知度をさらに高めることにより、正しい性の理解促進が進められる体制構築に助成金が活用されることを期待したい。
(選考委員:石田祐)


団体名 :(特活)ゆるり家
事業名 :駄菓子やをツールとした多世代交流の場づくり おでかけひろば「おきらくだがしかし…」

 本団体は、稲美町の小学生を中心に、放課後の遊び場の提供と多世代交流の場づくりを「駄菓子や」をツールにして活動を行っている。団体の活動は、小学生に限らず、中学生から大学生、親子、そして地域の全世代を対象にしており、その強みを活かした市民活動であり、社会関係を築くまちづくりを地道に推進していることを評価し、助成することとした。

 団体の課題は、日頃の場づくりに関わる人材の確保とその育成である。本事業のツールである駄菓子やの運営では、子どもたちとの交流だけでなく、細々としたお菓子の金額を把握することも必要となっている。機械に頼ることも手段のひとつではあるが、人の手と手による駄菓子やでのやりとりが子どもたちの成長と将来の記憶につながるであろうことから、地域の協力者を集め、長く居場所づくり活動を継続できる体制構築に助成金をしっかりと活用してもらうことを期待したい。
(選考委員:石田祐)


団体名 :兵庫フリースクール等連絡協議会
事業名 :普及・啓発事業「子どもの権利・多様な学びを認める”こどもまんなか社会″を目指して」

 申請団体は、増え続ける不登校問題に対して、現状を熟知している兵庫県下のフリースクール運営団体が複数集まり、個別の団体の支援だけでは成しえない不登校問題への社会の理解、法律の周知、子どもの自殺予防の活動など、学校に行かない・いけない子どもたちが不利益をうけることなく安心して生きていける社会の実現を目指して連携をして活動している。

 今回は、不登校児童生徒等への支援についての法律である「教育機会確保法」及び2023年5月に施行された「こども基本法」について、支援組織や関係機関がさらに深く学び理解し、広く周知共有する必要性を強く感じたことから、学び共有する場としての講演会の開催を企画し、その実施費用に対する申請となる。こういった学びの場は、複数連携団体であるからこそ開催できる強みでもあり、このことがそれぞれの団体の支援の質を高め、さらにネットワークによる政策提言に繋がっていく活動であることが評価された。増え続ける不登校に関する問題の啓発活動を続ける中で、当事者はもちろん支援機関が正しく法律の知識を得て、学校関係者や行政と共に「こどもまんなか」社会に取り組むことですべての子どもたちが安心して生きていける社会の実現に向けて活動が継続されることを期待する。
(選考委員:荻野俊子)


団体名 :りすぺくと・ゆう
事業名 :普及・啓発事業「子どもの権利・多様な学びを認める”こどもまんなか社会″を目指して」

 申請団体は、神戸市の福祉職に携わる方々で構成され、児童相談所、生活保護業務、児童発達支援センター等で不登校児童支援をしてきたが、不登校支援は、子どもの問題だけでなく家庭環境の問題がかかわっていることに気づき、家庭環境を変えることは難しいので地域の環境を変えることで不登校支援をして行こうと考え、団体を設立。和田岬地域で子供の居場所「雑楽塾」を作る活動を始めた。今年から始められる活動という事で実績は無いが、公務員の方々が、こういった活動を始めること、子どもたちを地域のみんなで育てるというコンセプトが評価された。今後申請書にもあるように地域の小中学校、福祉センター、ふれあいまちづくり協議会、地域の方々との連携を広げ、賛同者を増やし、資金面も安定し、継続できる活動にしてもらうことを期待する。是非、神戸市の中でモデルケースを作って頂きたい。

 ただ、目指す姿に「不登校児童がいなくなる」というところにほとんどの選考委員が懸念を感じた。すべての子供に学校以外の選択肢があり、個性に応じた多様な教育を受けることのできる社会を目指したいと考える。
(選考委員:谷口享子)


団体名 :(特活)ふぉーらいふ
事業名 :地域連携による不登校の小学校低学年児童への体験と学びの提供・支援事業

 申請団体は1997年からフリースクールを運営する中で不登校や発達障害の子どもたちが学び育つための居場所づくりに専念してきた長年の実績がある。また子どもたちとの関わりの中で見えてきた数々の問題解決のため、地域住民や自治会、行政、企業などと幅広くネットワークをしつつ、不登校・教育に関わる問題に積極的に取り組んでいる。その中で不登校の子どもたちの低学年化が進んでいることをいち早く問題視し、2021年から「あかでみあ」という小学校低学年の児童を対象とした居場所を試験的に立ち上げている。今回の申請はそのプログラムに必要な実費の申請であるが、プログラム実施にとどまらず各回の実施記録をデータ化し、専門的知見による分析を得てモデル化し、民間や行政等多様な関係機関に共有することで地域社会への問題提起や啓発活動につなげていこうという姿勢が評価された。

 当プログラムの参加料の金額設定に課題があるものの、当活動は重要なテーマであり、地域社会、関係機関、専門家などと共に取り組みを継続し、子どもたちの安心・安全の守られる地域社会となることを期待する。
(選考委員:荻野俊子)


団体名 :(特活)神戸ロボットクラブ
事業名 :プログラミング学習

 申請団体は、小学校中学校でプログラミング教育の導入が始まった中で学校の授業について行けない、逆にもっと進んで行いたいが、学習塾など経済的に参加できない小・中学生、不登校、発達障害の子供たちにも多様に学習機会が得られるよう、一人一人に寄り添う丁寧な指導をする学習会を行っている。学習会には、大人やシニアも参加。世代間コミュニケ―ションにも役立ち、居場所作りにも役立っている。

 プログラミングやロボット、ドローン等は、今後の日本を支える分野であり、全国に広がることを期待している。この中から、将来の日本の科学技術を担う科学者が出たら素晴らしい。是非、技術大国日本の復活に貢献してもらいたい。
 ただ、申請書にも書いているが、参加者を増やすこと、登校拒否の方、発達障害の方々へも広く活動を周知する方法を工夫していただきたいと考える。
(選考委員:谷口享子)


その他分野

団体名 :神戸レインボーフェスタ実行委員会
事業名 :神戸レインボーフェスタ2024

 申請団体は、セクシュアル・マイノリティに対する社会での認知を広げ、自らの性について考えるきっかけを作り、生きづらさを抱えた人が前向きに生きられる社会、差別や偏見のない社会づくりを目指して活動している。政令指定都市のなかでもパートナーシップ制度導入が遅れた神戸(2023年12月開始)でLGBTQ+への理解促進のためのイベントとしてレインボーフェスタを初開催し、今回は2024年度開催と2025年開催へ向けた準備活動のための申請である。

 永続的な継続を目指して2025年度以降のイベントの規模拡大と協賛企業の開拓、ボランティアの確保等、地道に展開されている。LGBTQ+のみならず、広くマイノリティが住みやすい社会づくりへの発信にまで高めていきたいという視野も評価された。多様な人々が自分らしく暮らせる社会を目指した今後の活動の継続と展開を願っている。
(選考委員:李裕美)


団体名 :(特活)兵庫県障害者タンデムサイクリング協会
事業名 :兵庫県で障害者タンデムサイクリングを楽しむ会

 申請団体は、一人では自転車に乗れない視覚障害者が二人乗りタンデム自転車でサイクリングを楽しむことと、地域社会にタンデム自転車の普及を行うことを目的としている。これまで26年間の大会開催の実績があり、長年地域社会に呼びかけを続け、障害者とともに自転車に乗る「パイロット」や沿道警備のボランティアを獲得し、他組織とも連携をはかっている。視覚障害者がスポーツを楽しみ、行動範囲も広がることに加え、障害者と健常者が協力し合い理解し合える機会の提供にも通じる意義ある活動である。

 今回の申請内容では県内広域に活動を広げようとする取り組みも評価された。当事者・障害者団体以外の人々に広く活動を周知する方法の検討、企業への協賛金や協力の依頼、寄付をつのる活動等、今後の継続へ向けた展開にも期待したい。
(選考委員:李裕美)


団体名 :(特活)あしたあさって
事業名 :地域と人を結ぶ一歩先のコミュニティ~旧水尾町公民館利活用

 本団体は西脇市を中心に小さなボランティア活動、自治会活動、集落支援、子育て支援などの市民活動を軸に中間支援組織として活動している。提案された「地域と人を結ぶ一歩先のコミュニティ~旧水尾町公民館利活用」は当基金が目指す「市民・住民が主体的に参加し、人々の力で社会課題に取り組もうという気運を醸成したり、幅広いネットワークを形成する」という点に強く合致する事業である。

 「中間支援の仕事は起業支援だけでなく、その地域に暮らす人たちと対話しながら地域課題を見出すこと」を目標とされており、今後地域課題が複雑化していく中で、多様なアクターをつなぐ中間支援組織の役割はますます重要になっていく。
 今回の事業を通じて自治会との連携で拠点を持つことで、常設で市民活動に関する相談対応が可能になる。また「健康相談」や「介護予防教室」「みんなの本棚」などを通じて新しい対話が生まれ、新しいコミュニティづくりが生まれる。そういった循環を生み出すあしたあさってさんの活動が西脇の地で広まっていくことに期待したい。
(選考委員:坂西卓郎)


※各団体の選評は発展コースのみ執筆しています。