全国コミュニティ財団協会による助成金の不適切な扱いと同協会への当法人の関わりについて

2024年5月8日
公益財団法人ひょうごコミュニティ財団

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昨年10月以降、(公財)日本財団(一社)全国コミュニティ財団協会(以下、CFJ)それぞれのウェブサイトにおいて、日本財団からの助成事業にかかる「虚偽の会計報告」の問題が公表されています(※)。私たちひょうごコミュニティ財団(以下、当法人)は2020年度までCFJの正会員団体であり、また問題となっている資金についてもその一部をCFJから受けていましたので、ここで当法人の立場を明らかにいたします。

*一連の経緯は、「茨城NPOセンター・コモンズ」がまとめた下記ページに簡潔に整理されています。
「全国コミュニティ財団協会による助成金の不適切な扱いに関して」
*詳細は、当法人代表理事を含む有志が公表した要望書をご覧ください。
「(一社)全国コミュニティ財団協会が起こした「虚偽の会計報告」事件に関し、適切な説明責任の遂行と信頼回復に資する対応を求める公開要望書」(2024年4月9日)

【問題の事案の概要と当法人の関わり】

今回問題になっているのは、CFJが2016~2018年度に日本財団から受けた助成事業において架空の費用を計上し、その架空分を受取寄付金として計上したという事案です。

当法人は会員団体(当時)として2016~2017年度に、CFJからこの助成事業の中で「委託請書」という名称の契約書に基づき契約を結んで業務を請け負い、実際に委託費の授受が行われ請求書・領収書も委託請書記載の金額どおり発行し(2年間で計821万円)、契約上の成果を出し報告も済ませました。従って、CFJが2月19日に公表した弁護士「報告書」にある「当協会に人件費や業務委託費の支払義務があったと認められる書証が一切ない」「当協会と支払先との間で、具体的な金銭の授受は一切ない」は不正確な表現です。CFJは自己負担すべき2割の金額を上乗せして会計処理をしていたと考えられ、この上乗せ分に関しては具体的な支出もなく、「業務委託費の支払義務があったと認められる書証が一切ない」、あるいは「具体的な金銭の授受は一切ない」という上記「報告書」の結論が正確であると理解しています。

当法人は公益財団法人として、「経理的基礎」を有することが公益認定基準の重要な柱であり、万一架空の費用計上について知った上で相手方となっていたとすれば、公益認定基準に抵触しかねない重大な事態です。事実としてそのようなことはないと断言できます。

現在、この虚偽の会計報告問題については、CFJにおいて第三者委員会が設置され調査が始まっています。当法人としてはこの調査に全面的に協力し、事実の解明と原因の究明、責任の明確化、情報公開に努めてまいります。

【全国コミュニティ財団協会への要望】

当法人は2020年度にCFJの法人運営・ガバナンスの杜撰さと、にもかかわらず休眠預金制度における巨額の資金分配事業を手掛けようとしている状況に強い懸念を抱いて法人内部で繰り返し是正を求めましたが受け入れられなかったため、CFJを退会しました。ここではその詳細は記しませんが、本事案はその当時の状況と(時系列的には逆ですが)軌を一にするものと言えます。

上記の通り、本事案は助成財団として、コミュニティ財団として、公益法人として、また休眠預金という公的性格の強い資金を扱う資金分配団体として、あってはならない事案です。CFJだけでなくコミュニティ財団や公益法人全体の、また市民セクター全体の信用を傷つける事態であり、CFJには今からでもできる限りの対処を誠実にしていただきたいと思います。

同時に本件は、理事・監事が果たすべきチェック機能、意思決定や情報共有の仕組み、規程類を形だけ整備することの意味と限界、そして万一不適切な事象が生じた場合にとるべき対応のあり方など、NPO・公益法人等が備えるべきガバナンスのあり方について多くの教訓を含んでいます。今回のことは当事者はもちろん市民セクター全体が学ぶべき事例だと考えます。

繰り返しになりますが、CFJには引き続き自発的かつ詳細な情報開示を求めるとともに、当法人は第三者委員会その他における実態解明に全面的に協力してまいります。

(以上)

※ 日本財団および全国コミュニティ財団協会による公表文

(日本財団)

・2023年10月23日「日本財団助成事業における不適切な会計処理について」

(全国コミュニティ財団協会)https://www.cf-japan.org/

番号 公開日 タイトル(リンク付き)
1 2023年11月17日 日本財団助成事業にかかる会計処理、並びに資金の一部返還についての見解(2023年末~2024年始に取り下げ)
2 2024年1月6日頃 日本財団からの助成事業の件について
3 2024年2月19日 <ご報告>日本財団助成事業における不適切な会計処理について
4 2024年3月1日 「2016~2018年度の理事」からのお詫び
5 2024年3月18日 日本財団助成事業における不適切な会計処理に伴う助成金の一部返還の内容及び現在実施している対応状況について
6 2024年3月24日 第三者委員会の設置について
7 2024年4月19日 日本財団助成事業における不適切な会計処理に伴う助成金の一部返還の対応状況について

なお、上記日本財団サイトでは「不適切な会計処理」とされていますが、2月19日公表の弁護士「報告書」において、「虚偽の会計書類を作成」「日本財団に虚偽の報告をした」ことがCFJ自身も認めたとされていることから、本文では「虚偽の会計報告」としました。