—これは、難病専門の小児科医が、かけてくれた言葉です。
医療的ケアが必要な子どもが通える保育施設は神戸市内でもわずか5%弱しかありません。
私たちは21年前から、しょうがいや病気のある子どもたちも、毎日を当たり前に共に過ごせる「共生保育」に取り組んできました。
保育士、看護師、療法士が連携する多職種協働チームで、医療的な配慮やケアを必要とする子どもとそのご家庭を支え、安心して通える支援を広げています。
(共感寄付 2025年9月参加)
なんのために?
私たちは、2004年から神戸市で「共生保育(インクルーシブ保育)」に取り組み続けてきました。定型発達児、障害児、医療的ケア児がともに育ち合う保育を実践し、21年にわたる経験と実績を積み重ねています。
現在は1園あたり年間約500万円ずつの公的な補助金を受けています。ただし、この補助金は、医療的ケア児の在籍人数にかかわらず、1名でも複数名でも金額は変わりません。
<医療的ケア児の受け入れ実績>
2025年度実績:11名(人工呼吸器管理・血糖管理・酸素療法・経管栄養 他)
2024年度実績:10名(人工呼吸器管理・血糖管理・酸素療法・経管栄養 他)
2023年度実績:8名(血糖管理・酸素療法・経管栄養 他)
当法人では、1日11時間×週6日の保育時間全体を通じて常に医療的ケアに対応できる職員が園内にいるよう、シフトを工夫しながら運営しています。
しかしながら、このような体制を維持するためには、看護師や専門性の高い保育士の人件費が大きな負担となっており、現在の公的補助金では十分に賄うことができません。
そのため、不足分は法人の自己資金や他の助成金等で補っているのが現状です。さまざまな医療的ケアを安全に行っていく体制を継続していくためには、1園あたり年間約1,200万円の人件費が必要であり、公的補助金以外にも寄付によるご支援が不可欠です。
皆さまのご協力により、医療的ケア児とそのご家族が、より安心して地域で暮らし、働き、そして共に育ち合える環境を守り続けていきたいと考えています。


なにをする?
① 認可保育所の基本配置に上乗せして、看護師を配置する。
開所時間7:30~閉所時間18:30まで、医療的ケアができる看護師を配置し、ニーズに応えます。
② 行政の補助金や助成金によって、医療的ケア児受け入れに必要な人件費を安定的に賄えるよう、引き続き行政への働きかけを行う。
他の保育施設でも医療的ケア児の受け入れが進むよう、当法人がモデル園として交流会、勉強会、研修や見学の受け入れを積極的に行い、地域全体での支援体制の構築に貢献していきます。
③ 地域の他機関と連携を図り、子どもとそのご家族にとって最善のケアを提供できるように努める。
医療的ケア児が主治医を受診する際には、園の看護師や保育士が同行し、園での様子や日々のケアの状況を医師に直接伝えることで、より的確な医療的判断や支援につなげていきます。
また、保護者、医療機関、訪問看護師、保健師、行政担当者などを交えた「関係者会議」を定期的に開催し、子ども一人ひとりの状況に応じた支援方針を共有・調整していきます。このような多職種・多機関連携により、継続的かつ包括的な支援体制の構築を目指していきます。
寄付金額のイメージ
◎5,000円で「保護者さんが体調不良などで、どうしても医療的ケア児さんを保育や療育に連れて行けない」ときに、当法人有資格スタッフがお迎えに行けます。(2024年度実績は延べ約40名)
◎14,000円で、早朝・夕方のケアスタッフが少なくなる時間帯(合計3時間)に看護師または医療的ケア対応可能な保育士をひとり加えることができます。
◎15,000円で、スタッフが医療的ケアの保育や看護の研修に半日いくために、代替スタッフを確保することができます。
◎43,000円で、土曜日開園の11時間、看護師または医療的ケア対応可能な保育士をひとり加えることができます。
◎80,000円で、酸素飽和度モニターを買うことができます(モニターは3年程度で買い換えが必要)。
医療的ケア児の行き帰りの荷物を少しでも減らすため、施設側で医療的ケア児ひとりにつき1台を用意しています。


大切にしていること
① 多職種によるチーム支援体制
保育士・看護師に加え、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・公認心理師など、外部の専門職と連携した多職種協働チームを構築。子ども一人ひとりの状況を多角的にアセスメントし、保護者とともに最適な支援方法を検討、実施することで、より質の高い保育とケアの提供を行っています。
② 「必要なケアを、必要な時に、必要な人に」届ける理念
しょうがいや病気の有無、診断名にかかわらず、すべての子どもが安心して育ち、社会に参加できるよう、法人理念のもと、柔軟かつ実践的な支援を行っている点が私たちの強みです。
③ 地域に根ざした保育環境と交流の場
法人所有の園庭や建物を活用し、地域の方々との交流を大切にしています。自然に囲まれた広々とした空間の中で、子どもたちがのびのびと過ごせる保育環境を整えています。今後は、地域とのつながりをさらに深め、誰もが気軽に訪れ交流できる場づくりを進めていきます。
④ 実践に基づく制度提言とモデル園としての役割
医療的ケア児の保育に関する調査研究や制度提言にも積極的に取り組み、行政との継続的な対話を通じて現場の声を制度に反映させる努力を続けていきます。また、他施設からの研修・見学の受け入れを通じて、地域全体で医療的ケア児を支える仕組みづくりを牽引するモデル園としての役割も果たしています。
今後のビジョン
私たち「こどもコミュニティケア」は、医療的ケア児を含むすべての子どもたちが、地域の中で安心して育ち合える社会の実現を目指して活動してきました。今後は、これまでの実践をさらに発展させ、以下のような展望を持って取り組んでいきます。
① 医療的ケア児の受け入れ体制のさらなる充実
現在の看護師・医療的ケアに対応可能な保育士の配置体制を安定的に維持し、必要に応じて拡充することで、より多くの医療的ケア児を受け入れられる環境を整えていきます。特に、長時間保育や送迎支援など、保護者の就労継続を支える仕組みを強化していきます。
② 地域全体で支える仕組みづくりの推進
当法人がモデル園としての役割を果たし、他の保育施設や福祉機関が医療的ケア児を受け入れやすくなるよう、研修・見学・交流の機会を提供し続けます。地域の中に「医療的ケア児を受け入れることが特別ではない」空気を広げていきたいと考えています。
③ 制度改善への働きかけ
現行の補助制度では、実際に必要な人件費や支援活動を十分にカバーできていない現状があります。私たちは、現場の声を行政に届け、制度の改善や新たな支援策の創設に向けて、継続的に働きかけていきます。
④ 地域とのつながりの再構築
新型コロナウイルス感染症の影響で一時中断していた地域との交流を再開・拡充し、園庭開放や地域イベントなどを通じて、子どもたちと地域の方々が自然に関わり合える場をつくっていきます。
⑤ 他団体との連携による支援の広がり
全国小規模保育協議会や垂水区医療的ケア協議会など、同じ課題に取り組む団体との連携を深め、情報共有や共同研修、制度提言などを通じて、医療的ケア児支援の質と広がりを高めていきます。地域を越えたネットワークの中で、より多くの子どもたちとそのご家庭に必要な支援が届くよう努めます。
⑥ 学生・地域ボランティアの参加促進
保育・福祉・医療を学ぶ学生や地域のボランティアが継続的に関われる仕組みづくりを進めます。実習や体験の場としての受け入れを通じて、次世代の支援者育成と地域の理解促進を図ります。将来的には、ボランティアコーディネーターやソーシャルワーカーの採用も視野に入れ、より専門的かつ継続的な支援体制の構築を目指します。
担当者からのメッセージ

私たちの園では、医療的ケアが必要なお子さんも、そうでないお子さんも、毎日いっしょに過ごしています。子どもたちは違いを気にすることなく、自然に関わり合い、遊び、育ち合っています。その姿に、私たちスタッフも日々、たくさんの気づきと感動をもらっています。
しかし、医療的ケアがあることで、保育園に通うことをあきらめざるを得ないご家庭は、まだまだ多くあります。
「この園があって本当に助かっています」
「安心して働けるようになりました」
そんな保護者の声に、私たちは何度も励まされてきました。看護師や医療的ケアに対応できる保育士が子どもたちのそばにいることで、保護者の方も安心して預けることができます。そして子どもたちも、互いの関わりの中で、ぐんぐん成長する機会を毎日手に入れています。
けれども、この体制を維持するには、人手と費用がどうしても必要です。公的な補助だけでは足りず、私たちは日々、工夫を重ねながら運営を続けています。
「必要なケアを、必要な時に、必要な人に」
この理念のもと、私たちはチームで支え合いながら、子どもたちの成長をより安全に、より良い環境で見守り続けたいと思っています。
どうか、あなたのあたたかいご支援で、この安心を、もっと多くのご家庭に届けさせてください。私たちと一緒に、子どもたちの笑顔と地域の未来を育てていきましょう。
団体について
| 団体名 | 特定非営利活動法人こどもコミュニティケア |
|---|---|
| 住所 | 兵庫県神戸市垂水区 |
| 団体HP | https://children-cc.org/ |
| 代表等 | 【代表理事】末永美紀子 |
