インタビュー

NPO法人 Oneself インタビュー

インタビュー団体様:NPO法人 Oneself
助成プログラム:第2次、活動支援コース
助成期間:2021年4月1日~2022年3月31日
事業名:コロナ禍で生活が困窮する留学生・技能実習生への食料品提供

助成プログラム:第3次、一般枠
助成期間:2022年4月1日~2023年3月31日
事業名:外国にルーツを持つ方を対象とした食糧品支援及び地域活動への参画促進事業

上記2期にわたり支え合い基金に採択された、NPO法人 Oneself代表中野さんにお話を伺いました。

簡単な自己紹介と団体を立ち上げられた経緯を教えて下さい

中野と申します。

私は2010年から日本語教師をしており、日本語教師になってすぐに中国の大学に2年間赴任し、向こうの大学で日本語を勉強している中国人に日本語を教えていました。

帰国後新長田のNPOで2年間お世話になりました。

日本で生活している外国の方が、指さし手帳のようなものを使って、「このフレーズを言えば自分のやりたいタスクを達成できる」というようなテキストを作る仕事を、2年間していました。

作ったテキストをどう使えるかということも含め、中国での経験を活かして残留邦人のクラスを担当することになり、自分たちで作ったテキストを教室で使いながらテキストを改善していきました。

日本に戻ってから、地域の留学生ではなく、地域で住んでいる外国人の支援を行っていたので、日本語学校に通っている留学生の生活はどのようなものなのかと思い、途中からは日本語学校にも週に1回通い出して、NPOと非常勤講師で活動していました。

そんな中で、「教室に行けば自分のことを理解してもらえるが、居住エリアに戻ると隣の家の人とは全く話したことがない」というような話をよく聞くようになり、教室があるのはもちろん良いのですが、居住エリアでつながりが無いと、特に残留邦人の方は高齢になってきているので、足腰が元気だから教室に行けるが、そうでなくなったときに隣の家の人は全然となると、やはり地域で孤立してしまうというようなことがあります。

そこで、居住エリアの方々と繋がれるような、活動をしたいというところで、2014年にNPOを自分で作りました。

作ったときから何か地域の方とつながりができる箱を作りたいと思っていたので、そこから1年少し遅れて2015年にシェアハウスを立ち上げました。

日本語教師の仕事も今も続けながら、終わって帰ってきたらNPOの仕事をしてと、忙しくています。

NPOは今、10期目に入り、シェアハウスは7月で9年目となります。
(2023年4月現在)

Oneselfのアピールポイントを教えて下さい

全てのスタッフで共有していることは、「外国にルーツを持つ方と地域の方とを繋ぐ」ということを軸にやっていることです。

活動の範囲は明舞団地内とか、シェアハウスがある兵庫区であれば留学生がたくさん住んでいるエリアで、どちらかと言えば狭いエリアで活動していますが、その中で顔が見える、イベントに来て1回きりというのではなく、地域の方が挨拶を交わして話せるようなつながりを作るという活動をしています。

兵庫区は住環境支援をしながら、地域の人とつながるということを軸に、活動しています。

ひょうご・みんなで支え合い基金に申請なさったきっかけを教えて下さい

支え合い基金に申請をしたのは、2年目になります。

2020年に新型コロナが発生し、外国人留学生のアルバイトがなくなったり、そういう中で家賃が払えない、という方が出てきました。

また「とりあえず自宅待機せよ」と言われ続ける中で今までだったら、学校にいき、仕事は夜勤の仕事でほぼ家にいなかったので、水道光熱費をあまり払わないで済んでいたが、ずっと家にいることで水道光熱費も上がっていくし、かといって、アルバイトは無い。

また、Wi-Fiの設備がない環境で生活している人も多く、ネットを使用するのに、何人かでコンビニのWi-Fiを繋ぎに行って・・・という方もおり、困っていました。

そのような方のために、水道光熱費や家賃を代わりに支払うというのは厳しいが、食料品の支援であればできるのではないかと始めたのが2020年。

最初は神戸市の国際課とコロナが始まってすぐに、留学生は困っていないかというお話が国際課からあり、実は家賃も払えない、水道光熱費も大変であるという話をしたんです。

すると、KICC(公益財団法人 神戸国際コミュニティセンター)から助成金が出ました。

まずそれに応募して食料品の提供をしていたのですが、支援を希望する人数が増えていく一方でした。

しかし、3月に助成金が打ち切られてしまうと、それで終わりというわけにはいかず、継続して活動できる助成金を探していたところ、支え合い基金の情報を得て応募に至りました。

支援するための食料品は、Oneself側が購入していたのでしょうか?

そうです。

コロナ流行中は、飛行機が飛ばずに帰国できないという人がたくさんいたので、そのような人たちにも支援を行っていました。

他にも食糧支援を行っている団体は多く、複数から支援を受けている人もいましたが、ただ、外国人の方は、日本の食材は食べ慣れていないため、他から支援を受けても食べられないというようなことがあり、せっかくもらっても食べない、使わないという話が出てきました。

食料品支援物資を食べられないのでと、支援された食材を持ってくる人もいました。

そこで、留学生たちと色々ヒアリングを行いながら、このようなものであれば食べられる、このメーカーの品物は大丈夫など話し合いを重ね、時には一緒に買い物についてきてもらいました。

そうすることで、きちんと頂いた支援金を有効活用できたと思います。

今後の展望などあれば教えて下さい

ひょうご・みんなで支え合い基金の助成期間は終わりますが、令和5年度は、ひょうごコミュニティ財団が運営している真如苑ひょうご多文化共生外国人支援基金を受けられることになったので、引き続き活動を行います。

助成金が終了したからと言って、活動を急に辞めるわけにはいきません。

まずは、食料品が提供できるという場所があることを知ってもらい、いつでも生活や仕事のことなどの悩みを相談できる場所として、外国人留学生とアルバイト先を繋いでいけたらと考えています。

支援者の方々にメッセージをお願いします

外国人の方が、自分たちが普段食べていた、食べ慣れていたものを購入するにも、日本で購入すると大変高額である場合が多いんです。

留学生の中には帰りたいのに帰れない人もいたし、かといって今まで通り日本で生活するには厳しいという人もいました。

自分たちが食べられる食材や食品が、どこに売っているのは知っているが、この生活状況では手が出ない、買えないという人たちもいたので、そういう意味では、日本人ももちろん大変な時期でありましたが、外国人留学生は社会的にはとても孤立していました。

助成金を貰うことで、普段は購入できない食材や食料を購入することができ、とても良かったと思います。

コロナ禍が収まったからと言って、すぐにアルバイトに復帰できて以前のように仕事があるわけではなく、このような活動が行われていることはとても良かったと、ボランティアの方からも聞けました。

助成金のおかげで、留学生や外国人の方の生活を支えてもらうことができ、ありがとうございました。

NPO法人 Oneself|やどかり
https://oneself-kobe.org/
〒652-0801
兵庫県神戸市兵庫区中道通2-2-11
電話078-224-5247