しあわせな未来は、わたしが選ぶ。 共感寄付

参加団体インタビューVol.3第五期「神戸ノラネコTNR実行委員会」様

し あ わ せ な 未 来 は 、わ た し が 選 ぶ 。
― 共 感 寄 付 ―

そこにある小さな命のためにわたしたちができること。人と猫が共存するために。

不幸な命が生まれないために。
殺処分を減らしたい。
これが正解かはわからないけど、共存するために今できること。

***

第五期 共感寄付が始動して1年半。「もっと多くの方に、各プロジェクトのことを知って欲しい!」との思いから、ひょうごコミュニティ財団のインターンによる取材プロジェクトが始まりました。
第3回目は「神戸ノラネコTNR実行委員会」さん。保護猫の譲渡会が行われている高砂市のカフェにお邪魔し、事務局の加島さん、ボランティアや来場者のみなさんにお話を伺いました。

加島 督枝 さん(神戸ノラネコTNR実行委員会)
神戸を中心に明石、三木、加古川、高砂、たつのなど周辺市町で地域猫活動に取り組むボランティアの有志がつくる市民団体「神戸ノラネコTNR実行委員会」の事務局・広報担当。
委員会では年間を通じてTNR活動(野良猫を安全に捕獲し、不妊手術をしたうえで、元いた場所に戻して、終生見守ること)を実施。猫の正しい飼い方の普及のために開く勉強会や公開講座など、地域猫活動の推進を目的としたさまざまな啓発活動を実施している。

―活動のきっかけについて教えてください。

実行委員会を立ち上げる前、神戸市西区に手術拠点を置き、一斉にTNR活動をしたことがありました。このときは、2日間で延べ約200人のボランティアが作業に当たり、231匹の手術を完了しました。この経験から「みんなで協力すれば多くの野良猫を捕獲・手術をして地域に戻すことができる」とわかり、一回きりの活動ではもったいないと考え、継続できるように実行委員会を立ち上げ今に至ります。

―会の主な活動について教えてください。

実行委員会の主な活動は①地域猫活動(TNR活動)の推進②目の前の命を守る救済活動(保護、預かり、譲渡など)③地域への啓発―の3つです。地域猫活動(TNR活動)とは、野良猫を捕獲(Trap)・不妊手術(Neuter)・元居た場所に戻して(Return)猫が命を全うするまで地域住民でお世話する活動です。
野良猫の親は一度不妊手術をするとその後子猫を産むことはありませんが、生まれた子猫をそのままにしておくといずれ大人になり、子どもを産み、再び野良猫の数が増えてしまうことにつながります。また外で暮らす野良猫は交通事故や病気で命を落とすことも多いんです。出会った猫の命をできる限り助けたいので、可能な限り保護してお世話し、譲渡会を開いて飼い主さんを探します。
譲渡先が決まるまでのお世話をしてくれるのは皆ボランティアです。保護されるまでの野良猫は、栄養状態が悪かったり、すでに風邪を引いたりして健康状態が悪いことが多いため体調を崩しやすく、病院にかかることも多く、急を要する手術もあります。保護に関わるそれらの費用はほぼ全て私たちボランティアの自己負担です。譲渡会へ出られるまでの健康な状態になるには大変な道のりがあります。

保護するのは、野良猫ばかりではありません。多頭飼養崩壊の家庭や、飼い主が高齢や病気などのため世話されなくなった飼い猫たちの救済に当たることがあります。少子高齢化が進むにつれ、特に、高齢者と飼い猫に関した相談が増える傾向にあります。
本人やその家族、介護や福祉の担当者などからの一報で発覚。飼い主の死亡や施設入所などで猫だけが家に取り残されていると聞いて、急いで保護したこともあります。人にお世話されてきた飼い猫は、野良猫のように、自分で餌を探して食べることはできません。飼育放棄により、容易に命の危険にさらされてしまいます。
飼い主不在となった後に世話してくれる人が誰もいない。あるいは飼い主本人が飼育を放棄して、殺処分前提で愛護センターに持ち込まれてしまうと、さらに命の期限を迫られてしまいます。
以上のようなケースに対しては、問題が起きる前に情報をキャッチし、未然に防ぐことができればと思いますが、ときには個人情報保護法が〝壁〟となります。またご近所とのお付き合いがない高齢者は、猫を抱えて孤立する傾向にあり、直接連絡を取れるようになり、支援できるようになるまでには、かなりの時間が掛かってしまいます。
今後さらに深刻になるであろう問題です。私たちボランティアだけでは力不足です。地域や行政との連携をさらに強化していかなくてはならない、と考えています。

もうひとつ大切にしている活動として「啓発活動」があります。実行委員会のウェブサイト上に「相談コーナー」を設けていますが、「保護が必要な猫を見かけたけれど、どうしていいか分からない」と悩む優しい方々から多くの質問が寄せられます。「どこに相談したらいいですか」「保護のやり方を教えてください」といった、自分が主体となって猫を助けようとする方が実際の行動へ踏み出せるような情報提供を大切にしています。
逆に「猫がいるからすぐに来てくれ」「あんたたちがなんとかしてくれ」といった無責任な、丸投げの依頼は断るようにしています。目の前の命を助けようと、行動を起こした人たちへの支援として、猫への接し方、保護のやり方を伝えることで猫を取り巻く現状への理解が深まり、地域の人たちの間に交流や、協力の輪が広がっていきます。このような、地域住民への支援を通した啓発活動を今後も充実させていきたいと思います。
そのほか、保護猫活動をしている他の団体さんと一緒にイベントを通じた啓発活動も行っています。地域猫活動(TNR活動)することで不幸な命が生まれず、殺処分を減らすことができるということを知っていただくため、写真の展示をしたり、活動家の方を招いてお話してもらったりしています。

\共感したら1アクション/

「神戸ノラネコTNR実行委員会」を応援する【5Action(ゴーアクション)!】
①神戸ノラネコTNR実行委員会の公式サイトを覗いてみる。
http://nyanpro.net/

 

命と思いがつながる場所

―みなさんは、どんな思いで今日の譲渡会へ。

(ボランティアさんのお話)
自宅で保護した猫の世話を始め、その後この実行委員会があることを知り、譲渡会に参加するようになりました。譲渡会ではボランティアがそれぞれの自宅で預かっている保護猫を連れてきて、来場者とつなぐ役割を担います。自分の家で実際に一緒に暮らしているからこそわかる猫一匹一匹の特徴、たとえば「この子は少し人見知りです」「ごはんをとてもよく食べます」「こんな遊びが大好きです」といった情報を、引き取りを希望する方へ率直にお伝えすることができます。ボランティアはそれぞれ自分のできる範囲で活動を行っていて、多い人では20~30匹を同時に家に迎え保護している方もいます。猫の病院代や食事代は自己負担で、トイレの掃除などもあり、経済的にも体力的にも大変です。またたくさんの猫たちと暮らしているとどうしてもひとりひとりに十分な愛情をかけてあげられないので、たっぷり愛してもらえる「ずっとのおうち」が見つかってほしいです。

(譲渡会へ参加し、子猫のトライアルが決まった母娘のお話)
一人娘が大きくなり「動物を飼いたいね」という話になり、家族全員猫が好きなこともあって、娘と一緒に譲渡会へ来ました。ペットショップで猫を購入することは初めから考えていませんでした。以前から「飼うなら保護猫を引き取りたい」と思っていたんです。保護主であるボランティアの方から子猫の性格や生い立ちなどが聞くことができましたし、娘と一緒に実際に子猫をなでて抱っこして、迎えたい子を決めることもできました。初めて猫を飼うにあたって準備するものや、お世話の仕方などについてアドバイスをもらえたことも心強かったです。

(保護した子猫のトライアルが決まったボランティアさんのお話)
譲渡先が決まれば、正式譲渡までに実際に猫と暮らすお試しとして「トライアル期間」を設けています。初めて猫を飼う方にはケージをお貸ししますし、環境の変化に弱い子猫の場合はいつも食べているフードやトイレ用の猫砂などすぐに必要なものも一緒にお渡しすることもあります。譲渡会当日には猫のお引渡しはしていないので、お世話していただける環境かどうか、後日実際にお宅に伺って、猫を飼うことについてアドバイスもさせていただき、ご自宅でのトライアル期間開始となります。一緒に過ごしてみて、永く仲良く暮らせるとわかってから正式譲渡となります。

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「神戸ノラネコTNR実行委員会」を応援する【5Action(ゴーアクション)!】
② 保護猫を家族として迎えてみる。
http://nyanpro.net/family/
譲渡会に行ってみる。
http://nyanpro.net/category/news/

活動の広がりと、地域でのつながり

―今日の会場自体も保護猫カフェなんですね。

そうなんです。こちらのカフェにいる猫も譲渡対象ですが、地域にたくさんいる保護猫との出会いの場にもしたいということで、会場を提供していただいています。神戸より西の地域での定期的な譲渡会開催は今まで行っていなかったので、長く続けて定着できたらいいなと思います。動物を持ち込む譲渡会の開催には使わせてもらえない施設が多く、今日の会場のように猫をケージから出してもいいよという場所はとても少ないんです。ケージの中にいる猫を見るだけもかわいいですが、実際に猫に触れて抱っこもできたらよりかわいいと思ってもらえますし、猫にとっても飼い主さんがみつかる大きなチャンスになります。

(まーぶるかふぇ店長さんのお話)
今日の譲渡会場であるこちらのスペースは、加古川の不動産会社が開設した保護猫カフェの上階にあたります。私たちは月に一度子ども食堂を開くなど、「地域で必要な企業であること」という使命のもとで事業を行っています。神戸ノラネコTNR実行委員会さんとは、兵庫県西部で動物の殺処分ゼロを目指し活動する「チーム命の輪」さんからのご紹介で繋がり、この場所を提供しています。実行委員会さんのように寄付だけで活動するのはとても大変だと思います。私たちも本業の売り上げから許される範囲内で活動を行っていますが、どんな形でも、「ひとりひとりが自分にできることをできる範囲で」行動へと移せる社会になればと思います。

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「神戸ノラネコTNR実行委員会」を応援する【5Action(ゴーアクション)!】
③ 保護猫カフェに行ってみる。
まーぶるかふぇさんのフェイスブック
https://ja-jp.facebook.com/marblecafehouden/

―寄付の使いみちは。

いただいたご寄付のほとんどは猫の医療費へ充てています。捕獲した猫への不妊手術はもちろん無料では行えません。神戸市では条例にもとづき、「神戸市人と猫との共生推進協議会」へ支援を申し込み、条件に該当すれば手術費用が無料になることもありますが、予算も限られており、それでは全く足りません。また、審査があるので、希望どおりになるわけでもありません。加古川市など猫のための助成制度がない自治体も、まだまだ多いのです。そのため共感寄付でのご寄付については、ただちに手術が必要という緊急性がある場合や、子猫や、病気やけがのために保護し預かりボランティアに託す際に必要な、最低限の初期医療費(ノミ・ダニ、回虫など寄生虫の駆除、ワクチン接種、ウイルス検査は検便などの検査費用)などに利用させてもらっています。それ以外に、猫の捕獲器の新規購入などにも使わせていただいています。

\共感したら1アクション/

「神戸ノラネコTNR実行委員会」を応援する【5Action(ゴーアクション)!】
④ 実行委員会からみなさんへ、募金のお願い。
http://nyanpro.net/suppoter/

―この記事を読んでくださっている方へ。

猫にまつわるさまざまな困りごとの本をただせば、実は、私たち人間が原因をつくっていた―と、思い当たることでしょう。人によって生み出された問題ですから、人によって解決していくことが大事ですし、いつか必ず解決できると思います。
猫が好きな人も嫌いな人も、猫が増え過ぎて困り、悩むのは皆、同じ。「何とかしたい」という思いがあるならば、たとえ考えが異なる人たちの間であっても、お互いに歩みより助け合うことで「何とかなる」こともあるものです。そして、猫を助けていけば、回りまわって人間が助かることもおおいにある。そのことをお伝えしたいと思います。

私たち、ひとりひとりの力は限られていますが、みんながそれぞれにできることから取り組んで行動を起こせば、人と人がつながり、やがて大きな力となります。

「こんなに少しでは役に立たないのでは?」と思う金額であっても、それが積み重なれば、ワクチン1回分、保護猫の食事1食分が賄えます。不幸な命が生まれないために、応援したいと考えてくださるみなさんひとりひとりの志が集まればやがて大きなことができます。「何かしたい」と思っていただけたら、私たちの活動に協力してもらえると嬉しいです。実際に保護活動をしたいと考えておられる方はぜひご自分の地域の身近なところで活動をしていただけたらと思いますので、実行委員会までご連絡ください。協力してくれているボランティアと一緒に、できることを探していきましょう。

\共感したら1アクション/

「神戸ノラネコTNR実行委員会」を応援する【5Action(ゴーアクション)!】
⑤ 共感寄付に参加してみる。
【5-D】「KOBEにゃんずプロジェクト」(略称:にゃんプロ)
https://hyogo.communityfund.jp/kyokan/project/7-d/

取材:(公財)ひょうごコミュニティ財団インターン 西村、柳瀬

記事の内容は2019年9月時点のものです。

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